南アフリカの高等植物の種数はどれぐらいかというと、18,000から21,000種の間と見られています。現在も新種が度々発見されており、数はまだ増えると思われます。日本に自生する高等植物の数がおよそ5,000種であるのと比べても如何に多いかが分かります。更に南アフリカにしか自生していない種類の占める割合、即ち固有率はおよそ80%と非常に高いです。これは、この地域の植物が独自の進化を遂げて、他地域とは異なった形態を有する植物が多いと言い換えることもできます。南アフリカの固有種の例としてクンシランやストレリッチア、アガパンサス など枚挙にいとみません。
このような固有種を生み出した自然環境の中で、注目すべき環境要因は降雨量と降雨期です。降雨量は大陸内部に行く程少なくなり、また西部程少なくなります。降雨期も地域によって大きく異なり、南西部から南部にかけては冬期に雨が多く降り、夏は乾燥します。一方、東部から北部にかけては夏期に雨が多く降り、冬は乾燥します。この地域の植物の生育は気温よりも降雨期に大きく支配されています。