グラジオラス(Gladiolus)

アヤメ科

夏咲きの園芸種のグラジオラスはよく知られていますが、原種のグラジオラスを知っている人は非常に少ないと思います。原種のグラジオラスは変異に富み、夏咲きグラジオラスの園芸種にはない魅力があります。
グラジオラス属はアヤメ科最大の属で、およそ255種からなります。アフリカ、ヨーロッパ、アジア南西部に分布し、南アフリカに分布の中心があります。
残念な事に、都市化、農地化、家畜の放牧等により、近年、南アフリカに自生する種類の多くが絶滅危惧種に指定されています。
グラジオラス属は生育期の違いから、夏期生育型と冬期生育型に分けられます。

1.冬期生育型グラジオラス(Winter growing Gladiolus)

冬期生育型のグラジオラスは夏から秋にかけて球根を植え付ける種類で、多くは秋から翌年の初夏にかけて生育、開花しますが、中には例外もあります。
この冬期生育型グラジオラスは冬が雨期で、夏が乾燥期となる南アフリカの南・南西ケープ地域を中心に分布しています。
春咲きグラジオラスと呼ばれる種類はこのタイプです。
興味を引くのは夏から秋にかけて開花するヒステランサスと言うタイプの種類です。このタイプは花だけを咲かせる茎と栄養成長の為の葉とが別々の時期に現れます。まず花を咲かせる茎が現れ、開花後に葉だけが現れます。茎に葉を付けながら成長し、花芽を形成し、そして花を咲かせる夏咲きの園芸種と比べて、このヒステランサス種は球根の中で花芽を形成すると言う点でも大きく異なっています。
一方、冬期生育型のグラジオラスは夏期生育型のグラジオラスに比べて園芸種は極めて少なく、原種同士の人工交雑もほとんど行われていません。今後、園芸種の育成が期待される分野です。全て種子から育てたもので、原種と新たに育成した原種同士の交雑種を紹介します。交雑種は総てオリジナルです。

栽培方法

いずれの種類も鉢植えで栽培すると管理が容易です。雨のかからない日当たりの良い軒下や無加温のビニールハウスなどで管理します。多くの種類の球根は9〜10月に植え付けます。
培養土は赤玉土、鹿沼土、軽石、バーミキュライト、腐葉土などを混合した排水と保水性に優れたもの用いると良いでしょう。肥料は粒状のマグアンプKの中粒を少量与えます。
植え付けの深さは球根の2〜3倍です。植え付け後はたっぷりと水を与え、以後は鉢土の表面が乾けば同様に水を与えます。冬期も生育期なので零度以下にならないようにします(短時間なら零度以下になっても支障はありません)。
葉が枯れた後は球根を掘り上げて保存するか、秋まで水を与えずに鉢植えのままで乾燥状態にしておきます。

は種

冬期生育型の種類は秋(10月)に種子を播きます。種子は乾燥剤を入れたビニール袋等に入れて、秋まで冷蔵庫に保管します。無菌の用土に種子をまき、種子がわずかに隠れる程度に覆土し、発芽するまでは乾かさないように管理します。球根が形成されている翌年の秋まで植え替えは行いません。
雨のかからない日当たりの良い軒下や無加温のビニールハウスなどで管理します。
発芽してから開花までは3〜5年かかります。

栽培している種類

南アフリカ産原種

グラジオラス・アクミナトゥス
(Gladiolus acuminatus)

グラジオラス・アブレヴィアトゥス
(Gladiolus abbrebiatus)

グラジオラス・アラトゥス
(Gladiolus alatus)

グラジオラス・アルクアトゥス
(Gladiolus arcuatus)

グラジオラス・アングストゥス
(Gladiolus angustus)

グラジオラス・ウイシアエ
(Gladiolus uysiae)

グラジオラス・ウィルソニー
(Gladiolus wilsonii)

グラジオラス・ウンドゥラトゥス
(Gladiolus undulatus)

グラジオラス・エクイタンス
(Gladiolus equitans)

グラジオラス・オルキディフロルス
(Gladiolus orchidiflorus)

グラジオラス・カエルレウス
(Gladiolus caeruleus)

グラジオラス・カミエスベルゲンシス
(Gladiolus kamiesbergensis)

グラジオラス・カリオフィラケウス
(Gladiolus caryophylaceus)

グラジオラス・カリナトゥス
(Gladiolus carinatus)

グラジオラス・カルネウス
(Gladiolus carneus)

グラジオラス・カーディナリス
(Gladiolus cardinalis)

グラジオラス・キトリヌス
(Gladiolus citrinus)

グラジオラス・クアドゥラングラリス
(Gladiolus quadrangularis)

グラジオラス・クリスプラトゥス
(Gladiolus crispulatus)

グラジオラス・ケレシアヌス
(Gladiolus ceresianus)

グラジオラス・サッカトゥス
(Gladiolus saccatus)

グラジオラス・サルテリ
(Gladiolus salteri)

グラジオラス・ステルラトゥス
(Gladiolus stellatus)

グラジオラス・スプレンデンス
(Gladiolus splendens)

グラジオラス・テレティフォリュース
(Gladiolus teretifolius)

グラジオラス・トゥリコネミフォリウス
(Gladiolus trichonemifolius)

グラジオラス・トゥリスティス
(Gladiolus tristis)

グラジオラス・ヒアリヌス
(Gladiolus hyalinus)

グラジオラス・ヒルストゥス
(Gladiolus hirsutus)

グラジオラス・フォウルカデイ
(Gladiolus fourcadei)

グラジオラス・フットニー
(Gladiolus huttonii)

グラジオラス・フロリブンドゥス
(Gladiolus floribundus)

グラジオラス・ミニアトゥス
(Gladiolus miniatus)

グラジオラス・メリアネルス
(Gladiolus merianellus)

グラジオラス・モステルティアエ
(Gladiolus mostertiae)

グラジオラス・メリウスクルス
(Gladiolus meliusculus)

グラジオラス・リリアセウス
(Gladiolus liliaceus)

グラジオラス・レクルブス
(Gladiolus recurvus)

グラジオラス・レプトシフォン
(Gladiolus leptosiphon)

グラジオラス・ロゲルシー
(Gladiolus rogersii)

グラジオラス・ロンギコリス
(Gladiolus longicolis)

グラジオラス・ワテルメイエリ
(Gladiolus watermeyeri)

グラジオラス・ワトゥソニウス
(Gladiolus watsonius)

グラジオラス・ヴィオラケオリネアトゥス
(Gladiolus violaceolineatus)

グラジオラス・ヴィギランス
(Gladiolus vigilans)

グラジオラス・ヴィレスケンス
(Gladiolus virescens)

グラジオラス・ヴェヌストゥス
(Gladiolus venustus)

グラジオラス・グラキリス
(Gladiolus gracilis)

グラジオラス・グランディフロルス
(Gladiolus grandiflorus)

グラジオラス・グリセウス
(Gladiolus griseus)

グラジオラス・ゲアルディ
(Gladiolus geardii)

グラジオラス・デビリス
(Gladiolus debilis)

グラジオラス・ブラートゥス
(Gladiolus bullatus)

グラジオラス・パテルソニアエ
(Gladiolus patersoniae)

グラジオラス・プリッツェリー
(Gladiolus pritzelii)

グラジオラス・ペルメアビリス
(Gladiolus permeabilis)

秋冬咲き(Autumn,Winter flowering)

グラジオラス・エクシリス
(Gladiolus exilis)

グラジオラス・グスリエイ
(gladiolus guthriei)

グラジオラス・ステファニアエ
(Gladiolus stefaniae)

グラジオラス・プリオリー
(Gladiolus priorii)

グラジオラス・マクラトゥス
(Gladiolus maculatus)

グラジオラス・メルディオナリス
(Gladiolus meridionalis)


ヒステランサス(Hysteranthus)Type

グラジオラス・エミリアエ
(Gladiolus emikiae)

グラジオラス・カルミネウス
(Gladiolus carmineus)

グラジオラス・マルトゥレイ
(Gladiolus martleyi)

グラジオラス・モンティコラ
(Gladiolus monticola)

グラジオラス・ネリネオイデス
(Gladiolus nerineoides)

グラジオラス・ヴァギナトゥス
(Gladiolus vaginatus)

グラジオラス・ブレヴィフォリュース
(Gladiolus brevifolius)

グラジオラス・ブレヴィフォリュースの変種ロブストゥス
(Gladilus brevifolius var.robustus)

春咲き園芸種(Spring flowering cultivars)

アブレヴィアトゥス(abbreviatus)由来の園芸品種

キトリヌス(citrinus)由来の園芸品種

カルネウス(carneus)由来の園芸品種

トゥリスティス(tristis)由来の園芸品種

フロリブンドゥス(floribundus)由来の園芸品種

ミニアトゥス(miniatus)由来の園芸品種

ロゲルシー(rogersii)由来の園芸品種

デビリス(debilis)由来の園芸品種

ブラートゥス(bullatus)由来の園芸品種

ヴィオラケオリネアトゥス(violaceolineatus)由来の園芸品種

プリッツェリー(pritzelii)由来の園芸品種

ペルメアビリス(permeabilis)由来の園芸品種

秋冬咲き園芸種(Autumn,Winter flowering cultivars)

エクシリス(exilis)由来の園芸品種

グラジオラス・ヴァギナトゥス x ステファニアエ
(Gladiolus vaginatus x stefaniae)

グラジオラス・グスリエイ x ブレヴィフォリウス
(Gladiolus guthriei x brebifolius)

2.夏期生育型グラジオラス(Summer growing Gladiolus)

夏期生育型のグラジオラスは春に球根を植え付ける種類で、初夏から秋にかけて生育、開花します。
この夏期生育型グラジオラスは夏が雨期で、冬が乾燥期となる南アフリカの東・北部から熱帯アフリカにかけて分布しています。
普段見かける園芸種のグラジオラスはこの夏期生育型です。

栽培方法

花壇または鉢植えで栽培します。
鉢植えの培養土は冬期生育型と同様です。
植え付けの深さは球根の2〜3倍です。鉢植えでは植え付け後にたっぷりと水を与え、以後は鉢土の表面が乾けば同様に水を与えます。
秋に葉が枯れた後は球根を掘り上げて貯蔵するか、鉢植えの場合は乾燥状態でそのままにしておきます。

栽培している種類

グラジオラス・アウランティアクス
(Gladiolus aurantiacus)

グラジオラス・エリオッティー
(Gladiolus elliotii)

グラジオラス・クラッシフォリウス
(Gladiolus crassifolius)

グラジオラス・セリセオヴィロスス
(Gladiolus sericeovillosus)

グラジオラス・フラナガニー
(Gladiolus flanaganii)

グラジオラス・モルトニウス
(Gladiolus mortonius

グラジオラス・ヴィノスマクラトゥス
(Gladiolus vinosmaculatus)

グラジオラス・ダレニー
(Gladiolus dalenii)

グラジオラス・デンシフロルス
(Gladiolus densiflorus)

グラジオラス・パピリオ
(Gladiolus papilio)

グラジオラス・オポシティフロルス
(Gladiolus oppositiflorus)

ユーラシア大陸産グラジオラス
(Eurasian Gladiolus)

南アフリカ産グラジオラスとユーラシア大陸産グラジオラスの交雑種(South African Gladiolus and Eurasian Gladiolus hybrid)

グラジオラス・カルネウス x イリリクス
(Gladiolus carneus x illyricus)

グラジオラス・イリリクス x フロリブンドゥス
(Gladiolus illyricus x floribundus)